遠く静かな南の楽園

僕は長年、インドネシアやマレーシアを中心に 白蝶真珠を育ててきました。
人口約2500万人のマレーシアは、マレー系、中国系、インド系、
そして多数の部族に分けられる先住民族で構成されている他民族国家です。



それぞれの民族が持つ、宗教、生活習慣の融合は独特な文化を生み、
マレーシアの魅力を創り出しています。

また、のんびりとくつろぐことの出来る砂浜や、南国の熱帯雨林、
魅力的な島々、神秘的で壮厳な山々など自然美に溢れる国々です。

国土全体が赤道に近く、結滞雨林気候に属しているマレーシアでは
一年を通じて常夏の気候です。

そんな遠い異国の地で、僕は真珠を育てていました。

僕が真珠を育てる場所は手付かずの自然が
いっぱい残された遠く静かな南の島

温かい水温を好む白蝶貝は、赤道を中心とした南国で育てられ
自然の養分を存分に蓄え育ちます。

養殖場には年間降水量2,000~2,500mm.月平均でも200mm.の
雨が降ります。

季節は雨季と乾季に分かれますが、
どちらの季節でもスコールと呼ばれる、にわか雨が降り
その水が僕たちの生活水になります。

自然の恵み、白蝶貝のネットにイカの卵が産み付けられいました。

育つ巻貝もとても大きいです。

淡水と海水がまじわる島の河口付近には マングローブの群生が
あちらこちらに見えます。

そんな手つかずの自然の残る島々で、僕は白蝶真珠を育ててきました。

ここからは、美しい白蝶真珠が育つまでの過程をご紹介します。

貝の誕生から約1年6ヶ月
真珠の元となる核入れ作業ができる大きさまで白蝶貝を育てます。

真珠は貝の内側の色味で決まります。

貝をやさしく開けた瞬間に貝の状態を見極めます
この時の貝の状態により、真珠の良し悪しが決まります。

中心に見えるのは貝の命とも言える貝柱です
ここに傷が付いてしまうと貝は死んでしまいます。

外套幕から細胞片を取り出し
真珠の芯となる核と細胞片を真珠の生殖腺のなかに挿入します。

核入れされた白蝶貝は、暖かい南の海で長い月日をかけて育てられます。


その間、ネットには多数のフジツボや海草が付着するため、こまめに貝掃除が必要です。

時には水中における貝の状態を自分の目で確かめに行きます。


真珠は豊富なプランクトンと雄大な大自然が育てあげた永遠の神秘。

私たちは少しの手助けをし見守るだけです。

核入れから1年6ヶ月、様々な過程を経て真珠を採り出す浜揚げ作業。

貝の誕生から3年、この時が一番、胸の高鳴る瞬間です。

これが一度も手の加えられていない白蝶真珠の姿です。

金色に輝く美しい白蝶真珠が今年も浜揚げされました(^^)v